レッド・ドラゴン

レッド・ドラゴン [DVD]
なんか、部分的に見たことがあった気がした。
きっとTVとかで見たんじゃないかな。
かなり断片的に。
通して見たのは初めてだと思う。


ん〜。
悪くはないんだけど…という感じかな。
と言っても、どこが悪いと端的に表現できないところを思えば、きっと「羊たちの沈黙」に連なる作品であることによる期待感の大きさのなせる業かもしんないけれど。


(以下ネタバレるかも)
今作のレクター博士は、「羊たち〜」以降のレクター博士と異なり、ある意味「素」(?)のレクター博士、連続殺人鬼のレクター博士がクローズアップされた感じかな。
それ故、グレアムとレクター博士の関係は、「羊たち〜」でのクラリスレクター博士の関係とは表面上似ているものの、明確な対立軸にあり、水面下の様々な戦いが見え隠れする。
このグレアムとクラリスレクター博士との関係の対比による、クラリスの特異性を浮かび上がらせることが、今作の主題の一つな気がする。



グレアム役のエドワード・ノートンの存在感が凄い。
ダラハイド役のレイフ・ファインズの演技も凄いけど、後半の二重人格の表現にいまいち難がある気もする。
ウィリアム・ブレイクの原画を食べる意味については、その原画を食べたのがどちらの人物なのかってのが大きなポイントになっていて、意味も全く変わってしまうと思う。
すんなり見たときには、原画を食べたのは「レッド・ドラゴン」になる方であって、原画はレッド・ドラゴンになるための力なりが備わるために食べたように見えた。
けれど原作*1の内容を参照すると、どうも食べたのはダラハイドの元の人格の様で、元の人格とレッド・ドラゴンの人格の乖離の是正が目的だったらしい。
これが象徴=原画の消滅によるレッド・ドラゴンの弱体化を狙ってのことか、ダラハイドの元の人格にもレッド・ドラゴンの力が入ることによる平衡化なのかは、それこそ原作を読んでいないとわからないのだろうけれど。
その情報を元に作中の該当のシーンを見ると、知的で計画的であるはずの連続殺人鬼が顔を見せた相手を殺さずにその場を去っているというミスを犯していること、ファインズの演技のダラハイドが弱々しく映るように見える。
けれど、それも予備知識があってのことなんだよなぁ。

*1:読んだわけではないのだけれど