イグナシオ 花村萬月 著

イグナシオ (角川文庫)
花村萬月初読。

美しい”あいのこ”の孤児の少年の性衝動と破壊衝動の物語。
ストーリーはかなり陳腐。


ただし、それにより社会を風刺している様は見事。
物語の筋は兎も角として、散りばめられた言葉たちには力がある。


気になった言葉メモ。

男が男に発情するためには、大脳皮質を、前頭葉をフルに活動させねばならぬ。
(中略)
虚構を硬直させ、発情させているのだ。
(中略)
しかし錯綜した、高度な前頭葉を持つ者が、すべて同性愛者であるとはかぎらない。

つまり、同性愛者は錯綜しそれでいて高度な前頭葉を持つと言っている。
それを肯定も否定も出来ないのだけれど。

人は虚構の心地良さを求めるくせに、いつだってそれにあきたらない。脆さに気づくと、つい、その部分を押してみたくなる。


あともう一カ所、心に引っかかった部分があったんだけど、ざっと読み返しただけでは見つけることが出来なかった。
どこだっけなぁ。