死体の冷めないうちに 芦辺拓 著

死体の冷めないうちに (双葉文庫)
芦辺拓初読。


結構、面白いです。
お話としては。



ただ、これが推理小説というカテゴリーに入るなら、トリックは陳腐極まりないと評されても致し方ないかと。
あと、SFだと自己弁護しているのが免罪符になるのかもしれないですが、かなりあり得ない動機が出てきます。
そこまでやるとこじつけだし、その組織に対してあからさまに悪意があるように読めます。
それがいきすぎていて正直興醒め。
「社会に色々言いたいことがあるんだなぁ。」という雰囲気で読める感じを超えてて、色々断定口調なのがちょっと…ねぇ。


あと、大阪人は溜飲が下がることでしょう。
その周辺の人口の少ない地域の人はあまり良い気分がしないかもしれません。
首都圏の人は微妙な心持ちかも。


長いスパンで書かれた短編集だから気を利かせたつもりなのかもしれませんけど、まえがきとあとがきは要らんと思います。
正直言い訳がましいですし。


ついでなんですが…気のせいかもしれないですけど…
誤字が二カ所ほど見受けられました。
これって…文庫でしょ?
それって…
ま、良いんですけどね。
推理小説っていうと批判的精神で読んでしまうから気になるだけかも。


そういえば、気になった点がもう一つ。
作中で事件を命名するシーンなんて描かれてないのに、後の話になると「〜事件」の時の「○×さん」みたいな表現が多用されています。
その「〜事件」=「各短編の題名」なのですが、これがかなり恥ずかしい。
というか、違和感があります。
登場人物たちにそぐわないというか…。
思い起こせばこういう表現って、推理小説では時々見るような気がしますけど、他で全く見たことがない気がします。
特有なものなんでしょうかね。