日本国債〈上〉〈下〉 幸田真音 著

日本国債(上) (講談社文庫)
日本国債(下) (講談社文庫)
やっぱり、けっこ良いと思います。
勉強になりますし。


けど、恋愛関係の記述は妙に初な感じだし、突拍子もないというか、突然というか、表現不足というかで、なんか舌足らず。
まぁ、中年の恋愛感ってのはそーいうものなのかもしれないですが、経済関連の描写に比べて弱く感じてしまって、「おまけ」感が漂います。
ま、実際おまけなのかもしれないですが。


(以下、一部ネタバレ)
あと、ネットに居る人なら常識だと思うようなところに間違いがあります。
本作中、ネット上でチャットを含んだホームページを作った人の話がでてきます。そのチャットへのアクセス制限の手法が「アドレスの秘匿」と「その定期的変更」になってますが、パスワード管理との組み合わせてその手法を使用することはあるでしょうが、普通それ単体で運用するなんてあり得ないですよね。
実際、そんなめんどくさいことしなくても、アクセス制限できるわけですし。


あと、そのチャットが「ロボット検索」に引っかかってしまって、サーチエンジンでアドレスがとれてしまい、不正アクセスをゆるすというシーンが出てきます。
この大本の小説が出たのが2000年ということなんで、その検索エンジンgoogleで間違いないんでしょうけど、ロボット検索をキャンセルする手法についても、既にその当時から知られていた筈です。
それを一般的なホームページの「管理者」が見逃すほうが変です。


ま、上記の2点についての齟齬は実は些事です。
その辺の管理はしっかりしていたけれど、クラッカーにやられてしまいましたと、手法をぼかして記述してしまっても良いわけですから。
けどまぁ、あからさまな間違いを「文庫」にしてしまうところが気になって書いてみました。