枯木灘 中上健次 著

読んだのは図書館の保存図書に指定されていた初版本のハードカバー。
当然、巻末に人物相関図みたいな便利なモノがついているわけでもなく、序盤の複雑すぎる人間関係の描写が全く頭に入ってこない。
その後、そこそこ人間関係が頭に入って読めるようになってくると、関西弁の会話文のニュアンスが掴みづらい。
筆者の詩的な文章も修飾過剰な文章に毒された自分にはなかなかにして難物。
結局、読了して分かったことは、風景や心象の描写を直接的かつ感覚的に捉えて良く、一言一句や前後関係の整合性に囚われる読み方だとかなりへとへとになる。


一言で言ってしまえば、本書のテーマは血に対する愛憎。
どうにもならない主人公の足搔く様を様々なエピソードで羅列する。
ただ、兄妹通姦とかに対する主人公の意識は、現代的にはちと過剰な気がする。
まぁ、そのへんは古い本なんで致し方ないところか。
終わり方が謎過ぎると思っていたけれど、本書だけで完結する話じゃなかったのね(汗
「岬」や「地の果て 至上の時」も読まなきゃだなぁ。