猛禽の宴―続・Cの福音 楡周平著

猛禽の宴―続・Cの福音 (宝島社文庫)
この手の作品に関しては、もはや突っ込み無用なのだろう。
エンタテイメントってのは、単に楽しむ為にあるのだろうから。


ぶっちゃけ、突っ込み精神を忘れてこの『お話』を楽しめば、楽しめる。
作者の楽しませようと言う意図が感じられすぎる嫌いはあるものの、それに乗ってでも楽しみたい。
そういう一冊。
『朝倉恭介』という主人公の魅力で読ませる。


『Cの福音』では、少し薄く、足りなかった主人公のイメージから、感情移入しやすい主人公としての肉を付けていくといった感じの本書。
Cの福音をクライムノベルとして、敢えて主人公に感情移入せず斜に構えて読んでいた読者には、本作は期待はずれだったかもしれない。
同作をもエンタテイメントとして捉え、主人公に出来る限りの感情移入をした私には期待通りの出来だったけれども。


それにしても「朝倉恭介=悪」という図式は、第一作からも全く感じられない。
悪事を働くから悪のヒーローとかいうのは良いとしても、悪人というイメージは無かった筈。
そういう読み方をするのは如何なものか…
足りない?


エンタテイメントなので、プロットは薄い。
中に触れられている記述に関しても実はあまり目新しさが無い。
嗜好品に関しても相変わらず面白みのない解釈に終止している。
ちょっと前の作品なので、それを考慮してその時代を思い返しても突っ込みどころ満載かな。


ま、楽しめれば良いので。
頭を空っぽにして楽しみましょう。