嗅覚異常 北川歩実 著

ISBN:4396328192
これもNo Image。


前の本に続き、初めて読む作者の本。
表紙には『本格推理』の文字が燦然と(?)輝いていた(^^;
前も書いたけど、本格推理って何?

とりあえず、『この』本格推理なら私にも読めます。


私の能力では推理小説としての善し悪しは評価できないんだけど、物語としてはまあまあ読めるんではないかと。
人が死なない探偵推理モノ、とでも言いましょうか…


(以下ネタバレ)
一応上の方には、まあまあとか書いてますけど、個人的にはどうかと思います。
こんなの文庫にしちゃって良いのかな?くらいの。


おそらく作者は、「嗅覚異常」と「脳」と「意識」の問題を題材とし、それらの専門的知識を紹介した探偵推理モノを意図したんだと思います。
一応、謎は二つあったんですけど、一つの謎に関しては分かり易すぎて拍子抜けです。
もう一つの謎に関しては字面だけ読んでると整合性がありそうなんですが、時系列に沿って考えるとかなり無理があります。
その無理がある部分が原因としてというか、それを犯行の動機と位置づけているのでどうしようもないです。


はっきり言ってしまうと、「犯人が嗅覚異常でそういう研究を始めた」と書いてますが、そういう動機付けって無理がありすぎです。
そもそも、犯人のそれは嗅覚異常というよりは、単なる神経症です。
カウンセリングを受けるなり、もっとマシな対処法があった筈。
本文中で、犯人の彼女が「分子生物学をやりたかったのにそっちの道に進んだ」なんて描写もあるのに、時系列が合ってません。


ちなみに、専門知識として紹介されている内容もかなり浅薄だと思います。
書いている内容も同じモノを繰り返しているだけですし。
分子生物学ってどんな学問なのかも下手すると分かっていないのかもしれないです。
だからこそ、上のような表現が出てくるのかも…


読み終わってから気づいたんですが、カバーの筆者紹介に

最先端科学を取り入れた新感覚ミステリーの旗手として注目を浴びる。

なんて書いてありました。
へなへな〜。