DZ(ディーズィー) 小笠原慧 著

DZ(ディーズィー) (角川文庫)
第20回横溝正史賞受賞作らしい…。
そんなに良いですか?


年末の忙しい時期に切れ切れに読んだせいかもしれないが、結構読みにくかった。
特に節間、章間での時系列の飛び方が著しく、場面を掴むのに多少の困難があった。
いきなり前振りもなく〜年後、視点も変わってますってのはどうか?
また、読点が多く文が細切れな間がした。
息が続かないんですか?
京大式ですか?*1(w
あとルビがかなりうざったい。
テクニカルタームを駆使したい気持ちは分かるし、雰囲気を伝えたいのかもしれないが、そこで敢えてそう言う言い回しをする意味があるのかどうか疑問。
特に序章の外国語表現のルビを打つ意味を全く見いだせない。
こらっ! に トオデイ
出血したのね? に コラマウチユア
とルビを打つ必要なんてあります?


内容的には、先の展開が読めすぎてげんなり。
そのくせ根幹の部分の齟齬が凄い。

ところで、もう一つの方の「ロバートソン型展座」ってなんだっけ。
 大学の研究室に電話して、水田に聞けば、すぐに教えてくれるだろうが、無知がばれるのも癪だった。

と主人公が述懐している。
それなのに、実は主人公がそれでした。
弟もそれでした。
弟の症例は発表されています。
主人公は発表されていることを知っています。
主人公は自分がそれであることを知っていたので生殖行動を忌避していました。
かなり無理がありませんか?
ロバートソン型展座について読者に説明したいのであれば、他の方法を選択するべきだったのでは?


またグエンは何故その弟の論文には着目しなかったんでしょう?
必死になって自らの子孫を残そうとしていて、自己のクローンの雌型を作ろうとすらしていた人間が論文検索を怠ったという事ですか?
それで自分が孤独だとまで思いますか?


ま、上に挙げたのは些事かもしれません。
秀作であることは確かですから。


全然関係ないんですが、タイトルのDZってのは二卵性双生児のことらしいです。
本文中では略語の元については言及がなく、ただDZとルビを振るだけだったのですが、解説では dizygotic twins と出てきてすっきり。
fraternal twins とも言うらしいですが、言い回しに違いがあるのかな?
英語力が無いんで良くわかりませんが。

*1:そう言う学習方式があるらしいです