ひつじが丘 三浦綾子 著

ひつじが丘 (講談社文庫)
三浦綾子初読。
この本を読んでいて最も衝撃が走ったのは、解説でこの話が「主婦の友」の連載作だと知ったときだ。
俺の乱読もここまできたか…orz
というような類の衝撃だけれども。(w


内容は切ない恋愛小説で、心理描写がかなり巧みだ。
ただ、主人公がすれ違いを続ける様は、この手の雑誌の連載ならではの味かもしれないが、かなりもどかしい。
敢えてする選択が全てハズレ、全て悪い方に悪い方に事が進むというのは、典型的に過ぎる気もする。
まぁ、そうでないとこの話自体が成り立たなくなってしまうけれども。
逆に言えば、その手のもどかしさを感じさせるところが、この話のすばらしさを表しているのかもしれない。


キリスト教に関して造詣の浅い私が言うのはかなり烏滸がましいし、誤謬を含むとは思うのだけれど、この物語の主題はキリスト教における「愛」であり、「人間」もしくは「人間観」なのだと思う。
本文中に幾度も書かれているその手の内容はかなり参考になった。
まぁ、2階から目薬の様なもどかしさも感じずにはいられないが。