虹を操る少年 東野圭吾 著

虹を操る少年 (講談社文庫)
この手の話はつよいなー、筆者は。
かなり面白い作品に仕上がっていると思います。


とはいえ、竜頭蛇尾な傾向は変わらないようで残念。
伏線が生きてなかったり、設定に齟齬や無理があったりするのもご愛嬌。
こういう細部に渡る設定が確りしないところがこの筆者の特徴とも言えるんで、あえて言及するのも憚られるんだけど、面白い題材なのでちょっと勿体無い気がする。


それにしてもこの題材で描かれている人間の進化像には心を奪われる。
『言葉』というあまりにも不完全なコミュニケーション方法に偏っていることが、人間の多くの不幸の原因になっていると考えている人は自分だけではないと思うけれど、その進化像はこれを補完する解答のひとつを示してすらいるからだ。


まぁ、それは夢想に過ぎないのだけれど。
それは眩いばかりで、手に届くことすら期待したくなってしまう。
そう感ずるのは私だけではない筈だ。