空飛ぶ馬 北村薫 著

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
北村薫読了二冊目。
初読はターン(ISBN:4101373221)。


同氏のデビュー作らしいです。
シリーズものの第一作とか。
同じ主人公の連作短編集、でいいのかな?


取り立てて書くことも無いのだけれど、やはり私は推理小説と名の付くものとは相性が悪い様で。


私自身は初めて目にしたんだけれど、題名よりも前に他の作家(宮部みゆき)が「まえがき」の様なものを1ページ書いていて、本作を「推理のアクロバットと人間ドラマの醍醐味とを幸せに結婚させた希有のカップル」と評していた。
そうですか。


脈絡の無いエピソードが挿入されるのは日常っぽさの表現?
節間で飛んだような、足りなさを感じる箇所が多いのは狙って?


その風変わりな話を聞いたのは、十月のある金曜日の夕暮れ時であった。


一行で一節を構成している文章って初めて見たのでメモ。*1


気になる一文。

知で情を抑えることは出来るのに、その逆は出来ないのです。そこが知で動く人間の哀しさではありませんか。そう言う意味で、知は永遠に情を嫉妬せざるを得ないのでしょうね」

良くわからない。


どうでも良いけど、唐突に推理勝負を挑む様な女性にはついぞお目にかかったことがない。
そのこととは別にして、その場面に唐突さを感じてしまうのは、無理があるからな気がする。
「手法」に拘泥していて、「手法」に必要な「手順」を踏もうとするからそうなるのだろう。
まぁ、「お約束」を読者との間に作るためには致し方無いのだろうけれど、最初の作品以降「お約束=黄金パターンへの逃げ」という図式が見え見えだった。
水戸黄門状態。
とはいえ、本作が「日常のミステリ」のパイオニア的作品であるなら、それも致し方ないのだろう。

*1:p216