夜光虫 馳星周 著

夜光虫 (角川文庫)
この作者ならではの作品。
馳作品を愛読する人には必読なのかも。
圧倒的なパワーとスピード感で、それらの奔流に押し流されるような読中感がある。
それは「鎮魂歌」で失われたと感じたもので、「不夜城」には確かにあったものだった気がする。


主人公の心理描写で納得できる箇所が幾つもあり、感情移入が容易だった。
とはいっても、「プロ野球選手の心理」としては納得できないものがあるのかもしれないけれども。


読後感は爽快…というか何も残らない感じ。
それはそれで良いけれど。
それもこの作者ならではかな。


全然関係ないけれど、他国の漢字の人名というのは読みにくいものだとつくづく思う。
かなり頻繁に登場する「王東谷」の読み方がしっくりするようになったのは、物語が終わりに近づいた頃。
ヒロインは「姓」が余り出てこないし、ありそうな名前なのですんなり読めるようになったけれど、他は全然頭に入ってこなくて最後まで日本語読みをしていた気がする。