夜の果てまで 盛田隆二 著

夜の果てまで (角川文庫)
盛田隆二初読。


名著だと思う。
近頃、ちょっとハズレを引いてたので心洗われる思い・・・というか(^^;


結論を先に提示するタイプの小説。
それ以外は、『起承転結』のお手本といってもいいような文章構成をとる。
というか、承までは淡々としすぎというか、抑えすぎという感じ。
まぁ、時系列に沿って日記のように書き連ねる形式ってのは、ありそうで見たことがなかったかも。


ちなみに結論が先に書かれていることが分かるのは起の中ごろくらいだっけな?
名前が分かってからだから、もっと早いかもしれないけれど。
その後は、何故結論を先に持ってきたのかということが、読み進む上での最大の注目点になってくるわけだけど、この話の場合は、結論で述べられている「空白の3ヶ月間」がどう存在したのかという一点になってくるんだろう。
まぁ。
期待の割にはそんなに価値のある答えを貰えなかった気もしないでもないけれど。


正直、話の筋自体には目新しいことはない。
筋を話してしまうなら、ほんの2〜3行で話せてしまうような内容しかない。
それでもこの話が心に残るのは数々のエピソードの積み重ねによるところが大きいのだと思う。
エピソードの積み重ねによる「リアリティー」かな?
それによってかよらずか、この本を読んでいて過去のいろいろの事柄が去来して心から離れなかった。
まぁ、女性には分かってもらえないかもしれないけれど、真面目に(?)恋愛したことがある男なら1度や2度は経験した痛さの再体験・・・というか、昔の創を抉られる思いというか・・・
選択したことの過ちを詳らかにされるような痛さというか。
ま、いいや(汗