カラマーゾフの兄弟 ドストエフスキー著 亀山郁夫訳

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)
カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)
カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)


カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)
カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)


ようやく読了。
とはいえ、感想としては「ようやく」という副詞に暗に含まれる意味とはかけ離れた、夢のような2ヵ月間だった。
古典をこれほど楽しんで読ませて貰ったのはかなり希有だと思う。
正直、この読みやすさは特筆もので、酒に喩えるなら飲み口の良すぎるアペリティフの風情。
読み返したくなるというのもあるけれど、それよりも、他の訳に次々と挑戦したくなる魔力じみた吸引力がある。
それは訳のというよりは、元々の物語のものかもしれないけれど。


しっかし、訳者の思い入れの強さが痛いほど伝わってくるなぁ。
ちと、多弁が過ぎるとも思わないでもない…かなぁ(汗


それにしても、未完であることがこれほど胸苦しいとは。
それはこの物語と作者の力を如実に表しているのだろうけれど、一面では未完である事により皆が感ずるこの胸苦しさが、この作品に対する衆目を集める原因と捉えることもできるのかも。
ドストエフスキー一流のチラリズムとでも言うのかな?(^^;